2019/03/08

写真の起源 英国


東京都写真美術館で今月5日からはじまった「写真の起源 英国」を見に行って来ました。昨年旅したロンドンのVictoria and Albert Museumにも写真文化の初期の写真や説明がたくさんあったのですが、当たり前ですが説明が全部英語で完全には理解できず… この展示をずっと楽しみにしていました。

写真学校時代、少しは写真の歴史のようなものを学んだはずなのですが、その時はさほど興味がなく… 今思えばもったいないことですがほとんど覚えていなくて、今になって知りたい、と思うようになりました。

写真というものがなかった時代に「写真」が生まれ、ヴィクトリア時代のイギリスでは写真とは何か、科学なのか芸術なのか、というところから議論されていました。万博での展示も「機械」のセクションに分類されそうになりましたが、当時の写真界の方々による抗議で「写真」というセクションが新たに作られたそうです。

写真のはじまりはフランスのニエプスとダゲールによるダゲレオタイプ、と言われていますが、実は先に写真の原理を発見したのはイギリスのタルボットだったのに、発表せずしばらく写真の研究を中断(別の研究に没頭してしまったそうです…)、その後フランスに先を越されて発表されてしまった、という経緯があります。

そして日本の写真史に深い関わりのあるイギリス。横浜を拠点にしたフェリーチェ・ベアトは有名ですが、それ以外にもウィリアム・バートンなど、写真の分野に長けているイギリス人たちが、日本で欧米の写真家による国際的な展覧会を開き、芸術としての写真を日本に紹介。日本での写真による芸術表現はイギリス人によって開かれていったそうです。

写真も興味深く、当時のイギリスの風景や建物を昔の技法で撮影した作品が多く展示されていました。面白いのは、当時から撮影後にいらないものを消したり、増やしたりしていた作品もあり、やっていることはデジタルになった今も写真の初期の頃も変わらないということ。写真をより印象づけるために、写真のメッセージ性を高めるために、撮影者が手を加えて発表することも許されていたようです。

日本の写真文化とは切っても切れない関係のイギリスでの写真の発祥を知る良い展示でした。是非足を運んでみて下さい。展示図録も教室にありますので、ご覧になりたい方がいらっしゃいましたらレッスン時におっしゃって下さいね。


そして最後におまけです。ちょっと気になっていたウィンドウディスプレイ。六本木のポール・スミスです。


ポール・スミス氏のお父様がアマチュア写真家だったこともあり、ポール氏自身も写真がお好きだそうで、今回のコレクションはお父様とポール氏自身が撮影した写真をプリントした布で作られています。また、それにちなんでディスプレイがこんなオシャレなことになっていて、これをどうしても見たかったので、展示を見た帰りに寄ったのですがなんと…お店がお休みでした!ショック…。

これ、写真が小さくて少し見づらいかもしれませんが、ライトボックス(教室にもある照明機材です)の表面の布に写真がプリントしてあるんですよ!お店がやっていればおそらく光るはず…。光っていなくても素敵でしたが、光っているところも見たかったです…。

でもこのアイディアには脱帽でした。写真の分野の人達には機材にしか見えないので、絶対にない発想。こんなことを思いつくなんて、さすがです!写真も別の角度や分野から見ると本当に自由で、ますます楽しいものになるんだな、と写真の魅力をまた一つ発見しました。みなさんもお近くにいらっしゃる時は是非見てみてくださいね。